2021年で最も明るくなる彗星が12月にやってきました。レナード彗星(C/2021 A1)です。2020年に大彗星となったネオワイズ彗星は悪天候で撮影できなかったので、私にとってこれが彗星撮影の初陣でした。
望遠レンズ「SIGMA 150-600mm F5-6.3DG OS HSM Sports」を手に入れたので、これで撮影できるのかどうかを確かめるためのテストも兼ねています。
このレンズを買ったきっかけは2021年11月の月食の撮影の際に、300mmの焦点距離に2倍テレコンバーターをつけるのでは物足りなさを感じたからでした。結論としては、大口径の望遠鏡には及ばないものの、彗星の様子をとらえることには成功しました!
レナード彗星を望遠レンズで撮影!
東の空のレナード彗星を焦点距離600mmでとらえる
◆撮影条件
カメラ | Canon EOS 6D(天体改造) |
レンズ | SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sports |
焦点距離 | 600mm |
絞り | f/8.0 |
シャッタースピード | 30.0秒 ×8枚 |
感度 | ISO 12800(5枚)、25600(3枚) |
フィルター | なし |
現像 | Lightroom Classic CC、Photoshop CC |
赤道儀 | Kenko スカイメモS(恒星追尾) |
撮影日時 | 2021/12/11 05:03~05:10 |
望遠レンズでも撮れそうという情報をネットで見ての挑戦でした。撮影・現像の技術には問題ありありな状態ですが、初めての彗星撮影は良い経験になりました!
しかしレンズが2,860gと重くて、撮影時はスカイメモSの積載可能重量(5kg)を超える約6.5kgを搭載することになってしまいました。ウエイトでバランスを取るといっても、かなり無理がありますね。
30秒間露光するうちにずれてしまう写真も多く、風や振動などによって、全体のうち仕上げに使えた画像は2~3枚に1枚でした。
現像方法について
彗星の現像は初めてです。ネットで調べながら、限られた枚数でできそうな方法を探りました。書いたとおり使えない写真も多かったです。そのため、ISO12800で撮影した5枚とISO25600で撮影した3枚の合計8枚での現像を試みました。
大まかな流れと処理は次の通りです。
ISO25600の3枚
①Lightroomでホワイトバランスや露光をおおまかに調整
②Lightroomのメニューから、Photoshopにてレイヤーで開く
③彗星に位置を合わせる
④「カラー比較(暗)」にて合成
普通は比較「明」合成を行いますが、今回は比較「暗」合成を行いました。カラー比較暗合成は3枚のうち各カラーで最も暗いピクセルを採用していく方法です。
というのも、彗星は背景の星とは動く速度が微妙に異なるため、彗星に位置合わせをすると背景の星は流れます。今回は使えない画像が多く、比較明合成をすると流れた星がきれいにつながらず、ずれた点像ばかりになってしまうという事情がありました。
スマートオブジェクトに変換して、スタックの方法として「最小値」を選んでも似たような結果を得られます。比較すると今回は「カラー比較(暗)」のほうが良好でした。撮影枚数が多ければ「中央値」でもよい結果が得られるかもしれません。
◆参考:比較暗合成後の1枚
中央付近は星の跡が若干ありますが、より明るい他の画像を載せていくため気にはなりません。
ISO12800の5枚
①Lightroomでホワイトバランスや露光をおおまかに調整
②Lightroomのメニューから、Photoshopにてレイヤーで開く
③彗星に位置を合わせる *ここまではISO25600のものの処理と同じ
④レイヤー最上段の1枚を「スクリーン」合成
⑤ISO25600の画像で得られた「カラー比較(暗)」の画像をその直下に置き、「比較(明)」合成する
⑥残る4枚のISO12800の画像を「カラー比較(暗)」またはスマートオブジェクトにし「最小値」「中央値」などで星の流れを消す
⑥の作業は前述のISO25600の3枚の画像のスタックと同じです。ISO12800で撮影したものもぶれてしまったものが多く、星の跡がつながらないために、彗星以外の部分を消す方法を検討しました。
つまり、彗星以外の星は④のスクリーン合成で得られる部分だけが反映されることになります。
夜明けまでのタイムラプス動画
固定撮影で彗星が山際から現れた直後から夜明けまでのタイムラプス動画を撮影しました。105mmの縦構図です。左から2つ目の山のすぐ上あたりに彗星があり、最後は縦構図での画面右上ギリギリに移動していきます。
◆撮影条件
カメラ | Canon EOS 5D MarkIV |
レンズ | EF24-105mm F4L IS II USM |
焦点距離 | 105mm |
絞り | f/4.0 |
シャッタースピード | 6.0秒 ×349枚 |
感度 | ISO 6400 |
フィルター | Kenko PRO1D プロソフトンクリア(W),Kenko スターリーナイト |
現像 | Lightroom Classic CC |
動画 | Premiere Elements 15 |
撮影日時 | 2021/12/11 04:37~05:39 |
一期一会の彗星との出会いは感動的でした。見切れていますが、下の画像のようにこの場所には漁港と明るい灯火があります。その影響でゴーストが出てしまっています。
撮影地情報
当初は以前に行ったことがある鵜原理想郷で撮影する計画でしたが、実際に行ってみると東側の光害の影響がありました。勝浦海中公園の展望塔による影響かもしれません。
そこで、急遽行川アイランド駅付近の旧道沿いからの撮影となりました。通行する車がまれにいますので、駐車や機材の管理には留意しましょう。
なお、場所によっては北極星が見えません。赤道儀を使う場合は構図にやや制約があります。
- アクセスのしやすさ:車◯、公共交通機関◯
- 最寄りIC:首都圏中央連絡自動車道市原鶴舞ICから約45分
- 最寄り駅:JR外房線行川アイランド駅から徒歩で約15分
- 方角:南~西を撮りやすい
- 空の暗さ:◎(とても暗い)
- 地上の明るさ:△(やや明るい)
→真東に漁港(大沢港)があります。その他の方角は良好です。 - トイレ:✕
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