カメラには通常、赤外光をカットするフィルターが装備されています。可視光ではない光が写り込んで、撮影に影響が出ないようにするためです。
ですが、天体写真ではその「見えない光」も映したいことが多く、そのフィルターを取り除いた「天体改造機」が使われてきました。そうすると、とくに星雲の赤い光がより多く映るようになります。
そして近年は景色も一緒に写す「星景写真」の分野でも天体改造機がよく使われています。私は雑誌「星ナビ」を購読していますが、天体写真の投稿で天体改造機が使われているだけでなく、星景写真でもかなり改造機が使われています。
では、天体改造機とそうでない機材で、どれくらいの差が出てくるのでしょうか? 保有している天体改造機「EOS 6D(天体改造)」と通常機「EOS 5D MarkIV」での作例を比較してみます。
本来は同じ機材で比較したいのですが、手持ちの機材の関係で制約があることにはご容赦ください。なお、「EOS 6D」は2012年発売、「EOS 5D MarkIV」は2016年発売で、性能は「EOS 5D MarkIV」が全体的に上回っていることは申し添えます。
望遠レンズでの天体写真の比較
手持ちの「EF70-300mm F4-5.6L IS USM」でオリオン大星雲付近を撮影した2枚です。300mmで撮影し、角度がずれていたので少しトリミングしました。310~320mm相当になると思います。
撮影条件はシャッタースピード2.0秒、f/5.6、ISO12800でポータブル赤道儀を用いています。現像はLightroom CCで露光量・ハイライト・シャドウを簡単に調整しました。
◆EOS 6D(天体改造)
◆EOS 5D MarkIV
オリオン大星雲の赤色の見え方がまったく異なり、画面上部真ん中付近の星雲(馬頭星雲付近)も、「EOS 6D(天体改造)」のほうがはっきりと映っていますね。
なお、天体改造の有無とは無関係に「EOS 6D」のほうが高感度に強い印象です。
広角レンズでの星野の比較
続いては「TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2」で20mmの星野写真を撮影しました。
撮影条件はシャッタースピード20.0秒、f/2.8、ISO1600です。星の色がわかりやすいように、ソフトフィルターの「LEE No.2」を使用しています。現像の条件はほぼ同じです。
◆EOS 6D(天体改造)
◆EOS 5D MarkIV
オレンジ色の星には結構見え方に差が出てきます。中央右側にあるオリオン座のベテルギウス、さらに右にある牡牛座のアルデバラン。それからベテルギウスの上のほうにあるふたご座のいくつかの星には差がありますね。また、オリオン座の三ツ星の下にあるオリオン大星雲も「EOS 6D(天体改造)」ではマゼンタ風の色が出ています。
通常機で撮っても現像処理で誇張することはできますが、最初から色がはっきりしているほうが良いでしょう。にぎやかな写真を撮りたければ、天体改造機を検討してみてはいかがでしょうか。
天の川の作例の比較(予定)
今後は同日に天の川を撮影して比較したいと思います。同じ日に同じレンズで撮影したことがなかったので、撮れたところで追記しますね!
通常機を持っていれば、次は天体改造機を買ってもいいかも
このように、天体改造機を持っていると同じ星空でもより多くの光を写すことができます。ただし、日中は一応は撮影できるますが、色味に違和感が生まれます。天体改造機は星の撮影専用になってしまうでしょう。
ですので日中も使うのであれば通常機で撮影するほうがよいと私は思います。「星しか撮らない!」という人や、すでに通常機を持っていて2台め・3台めを考えているならば天体改造機を使ってみてもよいと思います。
◆その他の機材紹介はこちら!
使用機材の紹介です。
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